就業規則
就業規則

就業規則の重要性

日本の企業経営の特徴である終身雇用制、年功序列制、労使協調体制が崩壊し、さらに労働組合組織率の低下等により、企業における労務管理は労働者全体から個別管理へと変革してきました。「就業規則」は労働者の採用から退職までの労務管理に関するルールを定めたものであり、雇用に対するリスクヘッジでもあります。 今後、ますます個別の労務管理を進めていく必然性があり、そのために「就業規則」の重要性が再認識されてきました。それは「就業規則」自体は従前から労務管理の法定帳簿なのですが、いざ労使紛争が生じた場合には「就業規則」の内容が判断材料になることが多いからです。 「就業規則」は重要であるにもかかわらず、ひな形をそのまま利用したり、現実の労務状況と乖離していたり、机の引き出しにしまいこまれていたりするケースが少なくありません。「就業規則」は法定帳簿という認識だけではなく、労使が互いに理解し、納得する「就業規則」に見直すことが非常に重要となっています。


実践的就業規則作成のすすめ
「こんな時どうしますか?」

具体例その1

Q1

「社員Aは前年度の有給休暇を10日繰越しています。10月1日に今年度分の有給休暇11日が付与されました。今年度請求する5日間の有給休暇は前年度の有給休暇なのか、それとも今年度の有給休暇なのでしょうか?」会社側は「今年度分を先に充当している」と主張し、労働者は「それでは、もし今年度5日間の有給休暇しか取得しなかったら、前年度からの繰越の10日間は時効になってしまう」と主張し、トラブルになっています。

  A2

労働基準法では年次有給休暇の消滅時効は2年とされています。その年に取得した年次有給休暇が前年の繰越分なのか、それとも今年度付与分なのかについては法の規定はありません。 そのため、労使の主張が食い違うケースもありますので、就業規則に規定しておいたほうがよいと思われます。規定しておけば有給休暇の消化を前年度分からにするのか、今年度分からにするのかは規定に従って判断されます。

【実践的就業規則例】

(懲戒解雇の場合の退職金)

第○条

第○条によって懲戒解雇された場合には、原則として退職金の支給は行わない。ただし、同条に定める諭旨解雇の場合は情状によっては、減額のうえこれを支給することがある。

2

前項については、退職後に第○条の懲戒解雇事由に該当する行為が判明したときにも同様とする。

3

前項の場合、退職した者に対して、退職金が既に支払われていたときは、会社はその全部または一部の返還を請求する。退職金の返還請求をされた者は、速やかにこれを返還しなければならない。

 

具体例その2

Q2

「懲戒解雇された者には、退職金を減額または支給しない」との規定があれば、解雇された者に退職金の減額支給または全額不支給ができますが、自己都合退職をし、退職金を受けた後、懲戒解雇事由が発覚した場合は、退職金を取り戻せますか?」

  A2

例えば、公金を横領した者が、懲戒処分を逃れるために、その事実が発覚する前に自己都合退職し、退職金を受け取った場合には、退職金が支払われた時点では懲戒処分がなされていないので、支払われた退職金は取り戻すことはできません。ただし、この場合に就業規則に「退職後に懲戒解雇事由が判明したときには返還請求する」と規定されていれば、不当利得返還請求権を行使することができます。

【実践的就業規則例】

(懲戒解雇の場合の退職金)

第○条

第○条によって懲戒解雇された場合には、原則として退職金の支給は行わない。ただし、同条に定める諭旨解雇の場合は情状によっては、減額のうえこれを支給することがある。

2

前項については、退職後に第○条の懲戒解雇事由に該当する行為が判明したときにも同様とする。

3

前項の場合、退職した者に対して、退職金が既に支払われていたときは、会社はその全部または一部の返還を請求する。退職金の返還請求をされた者は、速やかにこれを返還しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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